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第172話 開いてしまった封印

مؤلف: あるて
last update تاريخ النشر: 2026-03-23 05:22:43

 みんながわたしのそばにいる。それぞれがわたしの服を掴み、その気持ちを伝えてくれている。

 いつもなら安心するその状況も、今のわたしには痛みが伴う。

 大好きな人たちとこの先もずっと生きることができたらどれだけ幸せだろう。

 だけどわたしにはそれを望んでしまう勇気がない。怖い。

 ずっと閉ざしていた記憶の蓋をこじ開けられる音がした。怒涛の勢いで流れ込んでくる奔流。

 あの雪の日は混濁状態で忘れたと思っていた、そのまま葬り去ってしまいたかった幼き日々の傷跡。

 ずっと目を逸らし続けていた過去の亡霊が、鮮やかに蘇っていく。

 * * *

 胸倉をつかんだまま顔を上げると、ゆきが両手で顔を覆ってしまっていた。手の端から大粒の涙が流れているのが見える。

「ゆき?」

 どうしたんだろう。体が小刻みに震えているのが伝わってくる。怯えているのか?

「イヤだよ……怖い。痛いよ。もうやめてぇ……」

 どうしたんだ? 明らかに様子がおかしい。イヤイヤをするように顔を左右に振っている。

「どうしたゆき!」

「ゆきちゃん!」

「ゆき」

「しっかりしてゆきちゃん!」

 みんなで声をかけたが、元に戻る様子がない
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